変化や発生の前兆など知らせる役割
雨の降り始めに「雨のにおい」を感じることはありませんか。1964年に発表された論文で、長い間日照りが続いた後の最初の雨に伴う独特のにおいをペトリコールと定義しています。2015年にマサチューセッツ工科大学が、ハイスピード高感度カメラで雨粒の落下を測定し、ペトリコールの発生メカニズムを解明。雨粒が落下すると、非常に細かな空気を含んだ泡が跳ね返ります。この泡に土壌の成分が含まれていて、風に乗って人間の鼻へ運ばれ、においを感じ取っていると考えられています。
においの主成分は、土壌細菌が作り出すゲオスミン(土臭)であると結論付けています。非常に細かな空気を含んだ泡の跳ね返りが起こるのは、弱い雨のときです。人はゲオスミンに感度が良く、ごくごく微量でも感じ取ることができる(アルコール臭の8万分の1でも検知可能)ので、降り始めに、においを感じやすいとされています。また、雷の放電によってオゾンが作られますので、雷のときにはプールの消毒液のような、コピー機などから感じ取るようなにおい(オゾン臭)を感じることも。
土石流の発生にも、前兆のにおいがあるとされています。上流で、流された岩同士がぶつかったときや、土が掘り出されゲオスミンが大量に放出された際などに、下流で焦げたようなにおいや、いわゆる土のにおいを強く感じることがあります。このように、においは人々にとって好ましくない気象の変化や災害発生の前兆などを知らせる役割も担っていると思われます。