会長

令和3年5月27日に開催された公益社団法人・においかおり環境協会総会において、理事に選任され、その後に開催された理事会において、会長に選任された小峯裕己です。
これまでの5年間に引き続き、令和5年度の総会まで会長を務めさせて戴きます。

先ず、従前にも増して、協会運営に対して、会員の皆様からのご支援・ご協力を賜れますよう、お願い申し上げます。

ところで、都市部では、悪臭苦情の対象となる事業所が、大規模な工場等から焼き肉店やラーメン店等の飲食店を始めとする小規模な事業所へと移行しています。また、地方では、畜産農場における一戸あたりの飼育頭数の増加、畜産農家の存在する地域に達する住宅のスプロール化により、畜産関係の悪臭問題は深刻化するなど、いまだ課題が残されています。また、コンポストの生産施設から発生する悪臭も苦情が長期化する傾向もみられます。

一方、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、ケアハウスやグループホームなどの施設数が大幅に増加していますが、入居者の糞尿処理に関わる施設室内の悪臭も顕在化しています。また、在宅介護による介護臭、ペット臭、カビ臭に代表される一般家庭における嫌なにおい、食品における異臭問題(オフフレーバー)、体臭や口臭に対する過剰意識など、私達の身の回りでも、数多くのにおいに関わる問題が顕在化しています。香水や、合成洗剤・柔軟剤・入浴剤・防虫剤・化粧品・芳香剤などに含まれる合成香料に起因し、さまざまな健康被害が誘発される現象を言う香害という語句も、しばしば目にするようになりました。

このように、当協会で取り組むべき悪臭問題、におい問題は数多く存在している状況を踏まえ、臭気環境における測定技術に関する国家資格を有する臭気判定士の方を対象にした、協会の資格である「におい・かおり環境アドバイザー」の認定事業を、令和元年度に創設致しました。この資格は、悪臭の原因解明、問題解決のための対策提案を行うことが可能な、臭気に関する専門知識、学術的知見等の能力があることを協会が認定するものです。

当協会では、協会会員であるにおい・かおり環境アドバイザーの方の氏名・連絡先等を協会HPに掲載する、また、この資格を紹介する文面を地方公共団体へ送付するなどの施策により、「におい・かおり環境アドバイザー」の普及拡大を図って参りましたが、令和3年3月31日現在、臭気判定士の有資格者3,163名の内、「におい・かおり環境アドバイザー」講習会の受講者83名、協会への登録者は60名に留まっています。
新型コロナウィルスの感染拡大防止のため、「におい・かおり環境アドバイザー」講習会の開催が出来なかったことに加えて、社会活動の停滞に伴う活躍の場が限定されてしまう等、未だ周知されていないことが原因の一つであると考えています。
当協会としては、この資格の更なる普及拡大を図っていく所存です。

協会が設立されて約50年経過致しましたが、協会が対処すべき問題がまだまだ残っていると言って良い状況です。これらの問題を解決し、より快適な生活を確保するためには、教育・研究機関、地方公共団体や民間企業などから、におい・かおりに関して知見のある方々にご参画戴き、におい・かおり環境に関わる課題を基本から整理した上で、正しい情報を発信する必要があります。におい・かおりに対して興味を覚える方がいらっしゃいましたら、是非、当協会の会員となっていただき、色々な事業にご参画いただければ幸いです。
公益社団法人におい・かおり環境協会は、会員諸氏や社会からのご要望にお応えし、においに関する問題の解決及びかおり環境の創造に向け、従来以上に社会から期待され信頼される事業を積極的に推進して参ります。
今後とも、におい・かおりに関する各分野の方々のご参加、ご支援・ご協力をいただけますよう、お願い致します。

公益社団法人 におい・かおり環境協会 会長 小峯 裕己