精神状態や加齢、病気などで違い
人間の皮膚表面には、皮脂を分泌する皮脂腺と、汗を分泌する汗腺が存在します。皮脂腺から分泌される脂肪分は、角層の表面に広がり皮膚表面の保護や乾燥防止の役割を果たします。汗腺はエクリン汗腺とアポクリン汗腺の2種類あります。
エクリン汗腺はほぼ全身に分布し、主に体温調節のためや辛いものを食べたときに汗を分泌。この汗は98%以上が水で、塩分、尿素、尿酸、乳酸、アミノ酸などを若干含んでいる程度です。緊張や驚きによる汗は、エクリン汗腺のほかに、アポクリン汗腺から分泌されます。アポクリン 汗腺は、脇の下など体の一部にしか存在しません。
アポクリン汗腺からの汗は、においの元となるたんぱく質、脂質、脂肪酸などの成分を多く含み、においが強い場合は「わきが」と呼ばれます。皮脂や汗は分泌された時点では、ほぼ無臭ですが、皮膚常在菌の作用によって嫌なにおいになります。
汗などの分泌が盛んな若年と、中高年とでは分泌する成分に違いがあることや、加齢とともに皮脂の酸化生成物が増えることも判明していて、年齢によって体臭に変化が生じてくると考えられています。
また、体臭は病気とも関係があります。糖尿病では糖の分解が進まないため甘酸っぱいにおい、脂漏性皮膚炎では油っぽいにおい、腎機能の低下ではアンモニア臭がするといわれています。このように、体臭は緊張をはじめとする精神状態、加齢、食事などで変化するだけでなく、病気によって特有のにおいになることがあります。