魚の生臭さ対策には酸性物質を使う

中和反応や酸化還元反応など、化学的方法によって悪臭の強さや不快感を軽減させるのが消臭です。食材のおいしさを引き出す方法としての消臭を紹介しましょう。例えば魚は水揚げ後、時間の経過とともに、体内に含まれるうま味成分の一つともいわれる「トリメチルアミンオキサイド」が徐々に分解され、生臭さの主原因である「トリメチルアミン」に変化。このトリメチルアミンはアルカリ物質であるため、酸性物質と化学反応させると無臭化できます。
ですから、お酢やレモン汁など、酸性の酸っぱい調味料を魚に加えると、トリメチルアミンは中和されて無臭物質へ変化します。おすしは、酢飯を使うことで魚の生臭さを抑制し、魚本来のおいしさを引き出しているといえます。一方、グリルで魚を焼いた後には、酸性物質の酢水やクエン酸水でグリルをこまめに拭き取るといいでしょう。
住まいの手軽な臭気対策として重曹水、クエン酸水、エタノールがよく挙げられますが、原因となっている臭気の特性に応じた使い分けが大切です。汗をかいた靴や雨などでぬれた靴は、すぐに乾燥させることが重要。その上で、蒸れたにおいを発生させないようにするならば、靴の内部にエタノールをスプレーすることで、においの発生原因となる微生物の活動を抑制できます。一方、発生したにおいを消そうとするならば、においの主成分は「イソ吉(きっ)草(そう)酸(さん)」という酸性物質ですので、アルカリ性物資の重曹水を噴霧するなどして中和させるのが効果的です。