香料や精油で悪臭の不快感を軽減
消臭剤や脱臭剤、芳香剤は、においを低減・除去するメカニズムに違いがあります。香料や精油などの香りを利用して、感覚的に悪臭の強さや不快感を軽減するのが芳香剤。中和反応や酸化還元反応など、化学的方法によって悪臭の強さや不快感を軽減するのが消臭剤、活性炭などの多孔質物質の吸着、吸収作用などを利用して物理的に悪臭を取り除くのが脱臭剤です。
芳香剤には、古くから身近な悪臭対策として用いられてきた香りの適用方法と同じく、悪臭より強い香りを付加して悪臭を感じなくさせる方法が用いられてきました。一方、付加する香りが強過ぎ、逆に不快になってしまうことがあるのが課題でした。
近年、悪臭をにおい物質の一つとして捉え、悪臭に複数の香料を混ぜ合わせることで、新しい香りとして感じさせる変調法がよく用いられています。まさに香水の調香に基づく考え方といえるでしょう。香水は複数の香料を混ぜ合わせて作られていますが、構成する香料の全てが良い香りというわけではありません。ジャスミンの花の香りには、糞便臭ともいわれるインドールが少量含有されていて、ジャスミンの香りを構成するのには欠かせません。ある香料だけを嗅ぐと嫌なにおいに感じられても、他のさまざまな香料と混ざり合って素敵な香りに変化することがあります。
芳香剤を使う際は、対象とする悪臭が強過ぎる場合には悪臭そのものを低減させる方法と併用し、室内全体のにおいが強くなり過ぎないように注意しましょう。